面接前夜、志望動機を一言一句書き出して、声に出して覚える。 本番でその通りに言えたときは達成感すらある。でも、受からない。 ——これは私の話ですが、たぶん私だけの話でもありません。
用意した文章をそのまま話す形式が破綻するのは、だいたい次の3つの場面です。
共通しているのは、文章単位で覚えているせいで、途中から再生できないことです。 音楽プレイヤーで曲の途中から再生できないようなもので、 止まると最初から流し直すしかなくなり、そこで不自然な間が生まれます。
準備をしていないほうがいい、という話ではありません。準備は必要です。 違うのは、覚えている単位の大きさです。
| 丸暗記 | 準備 | |
|---|---|---|
| 覚える単位 | 文章(数百字) | 事実とキーワード(数語) |
| 質問がずれたとき | 対応できない | 同じ材料から組み直せる |
| 深掘りされたとき | 用意した先がない | 元の事実に戻れる |
| 話し方 | 再生している声になる | 会話の速度で話せる |
面接官が見ているのは、用意した文章の完成度ではなく、 「この人と一緒に働いたとき、話が通じるか」です。 完璧に再生された文章は、それ自体が「話が通じにくい人かもしれない」という印象になり得ます。
おすすめは、質問ごとに文章を書くのをやめて、次の3行だけを用意することです。
この3行があれば、「志望動機は?」でも「強みは?」でも「失敗経験は?」でも、 同じ材料から組み立て直せます。文章を覚えるより短時間で済み、崩れにくい。
用意するのは「答え」ではなく「材料」。答えは、聞かれ方に合わせてその場で組む。
転職面接の質問は無数にあるように見えて、聞きたいことはだいたい3つです。
確認されているのは「同じ理由でうちも辞めないか」です。 前職の批判に寄せると、この確認に対する答えになりません。 「何が起きたか(事実)」+「次はどうしたいか」の順で話すと、意図に沿った答えになります。
企業理念への共感を並べるより、 「自分がやりたいこと」と「その会社の事業・仕事内容」の重なりを一点だけ具体的に示すほうが伝わります。 重なりが見つからない会社は、そもそも受けなくていい会社かもしれません。
経験が浅い場合、実績の大きさで勝負する必要はありません。 「未経験だが、前職で新しい手順を覚えるのにこういう工夫をした」といった、 再現性のある行動を1つ話せれば十分に答えになります。
準備の作り方を変えても、緊張で頭が白くなる人はいます(私です)。 その場合は、練習相手を「自分以外」にするのが早いです。
20代向けの就職・転職支援サービスの中には、模擬面接や書類添削を回数制限なしで行っているところもあります。 本番前に、想定と違う聞かれ方をされる経験を人相手に積んでおくと、 「途中から再生できない」問題はかなり軽くなります。